2008年8月6日MITのPh.D. Defenseのときにいた大学院生は、優れた人でした。彼のレベルで、サイエンスもエンジニアリングもできて、かつ人格でも優れている人はほとんど見たことがありません。一緒に研究室に滞在していた時期は8月の一ヶ月間しかなくて、過ごす時間が短かったのが残念でした。人との協調性が高く、協力的で、聞けば、いろいろと教えてくれました。見習いたいところがたくさんありました。
彼は、その協力的な性格に加え、瞬間的に、いろいろな考具(考えるための道具[下のリストの1~9])や技術(下のリストの10, 11)を使いこなし、かなり効率的でした。考具や技術が瞬間的に使いこなせるかどうかは、車の運転と同じで、訓練しだいでどうにかなります。自分も真似したいところがあるので、彼の持っていた優れた能力を、忘れないように書いておきます。
彼が持っていた優れた能力リスト(1~9: 考具、10, 11: 技術)
- 行う実験が最小限。目的のことが検証できるデータだけをとろうと、いつも心がけている。Whitesides' Group: Writing a Paperの概念を完璧に取り入れている。
- 仮説・検証のサイクルが短く、改善が早いので、すぐに問題が解ける。
- システムを組んで、楽をするのがうまい。実験条件のグラフを作っておいて、何回も再利用する、簡単なプログラムを組んで、自動化するなど。
- システム全体でうまくいくように考えている。必要でなければ、部分にこだわらない。
- 何かを確かめるための対照実験を一瞬で考えて、実施できる。実験で問題が起きたら、すぐにその問題を確かめるための実験ができる。
- グラフをつくるのがうまく、定量的にデータをとる能力が高い。そのグラフの色使いは、Natureを彷彿とさせる。
- よく絵を描き、その絵は分かりやすい。絵で問題を考えるのがうまい。
- 自分で作業することにこだわっておらず、誰が何に詳しいか知っている。
- 英語で書くのも読むのも早い。カナダ人だから英語はネイティブ。
- ソフトウェアのショートカットを完璧に使いこなしていて、ソフトウェア作業の仕事が早い。Adobe Illustratorを僕の3倍近い速さで操作してたときは、衝撃的だった。
- 自分で電子工作、機械工作ができる。ドリルの穴あけぐらいは自分でやってしまう。
これらのリストの項目は、ゆっくりでもそれに気が付いて、実行するのは難しいのに、完全に自分のものにして、瞬間的に使いこなせているところがすごいです。実行スピードが非常に速い(考えずに使いこなすレベルになってる)のが大きなポイントです。「腑に落ちるところまでやるべき」というのは、あまり強調されていないと思いますが、大事なポイントです。
こうなった理由ですが、推測でしかありませんが、優れた人たちからいろいろと真似して、意識して見に付けられるよう、繰り返しトレーニングを行ったからだと思います。僕も、彼のように、彼のような優れた人の真似をするよう心がけたいですね。
2 コメント:
ちょっと気になったので、コメント。以前のエントリで日本人はまねることがうまいけど、アメリカにいる人は下手みたいなのがあったけど、今回の文章を読んでいると、アメリカにいる人も結局真似ることで成長するって感じがしました。
いし本様、
なるほど。それは2008年9月13日の記事ですね。
アメリカにいる人も結局真似ることで成長するのは、その通りだと思います。
で何を真似しているのかというと、アウトプットを産み出すための能力を、いろいろなところから真似(習得)しているのでしょうね。畢竟、真似に留まらず、アウトプットするところまで到達しているわけです。
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