2008年11月22日土曜日

アメリカでのポスドク

アメリカでは、大学院生のときにトップクラスの雑誌に、成果を2,3報載せた人は、大学で先生になれたりするようですが、大多数の人は、ポスドクを経験した後に、先生になります。そして先生になったとしても、いつ首になるか分からず、勝ち残るための厳しい競争が、十年以上続いていきます。

さてMITにいる友達が博士課程を終わった後、ポスドクで働こうとしていまして、色々と先生に問い合わせたり、ポスドクの給料を提供してくれる組織に、応募しています。まだ彼は博士号をとっていませんが、博士号をとる半年以上前から、すでに応募を始めています。

僕は、まず給料が気になってしまうので、その彼に、「アメリカのバイオ系のポスドクの給料はどのくらい」、と聞きました。年収3万~4万ドルと言っていました。僕はもっと高いことを期待していましたが、それだと日本円で年収300~400万円の勘定です。これを聞いて、お金の観点からは、アメリカにバイオ系の研究室にポスドクで行くのはためらいました。なぜなら、このアメリカのバイオ系ポスドクの給料と比較して、日本の工学系のポスドクの給料は、年に600万円ぐらいと、もっと高いからです。給料が低いのはかなりのモチベーションダウンですね。

僕の感覚としては、博士号を持っていて、それで300~400万円の給料だとすると、結構低いと感じます。なぜかというと、その給料で、ボストンで暮らすと、家賃でかなりの額を持っていかれて(一人暮らしすると月に15万円ぐらいかかる)、貯金もあまりできないからです。アメリカで産業界にいったら、もっと短く働いて、もっとお金が稼げますね。同期と賃金を比べたときに、自分一人だけ給料が低いと、ちょっと嫌になるはずです。これでは、アメリカ人で研究者になりたい人が減り、留学生が研究者になる構図になるはずです。アメリカで移民が止められないのは、安い給料で働いてもらう人を受け入れて、残りの層が楽をするためだと聞いたことがありますね。なるほど。

しかし近年では、その給与にも関わらず、バイオ系では、結構な数の人が、日本から、アメリカでポスドクになるために、渡米していると聞きました。その理由はおそらく3つあります。1つめは、ポスドクの供給過剰で、ポストの空きに対して、応募者が多すぎるから。2つめは、アメリカの方が成果を出しやすいから。3つめは、アメリカでの経験がアピールポイントになるからです。工学系からバイオ系には来ない方がいいと、複数のバイオ系の人に諭されるぐらいなので、結構競争が厳しい世界のようです。

楽しい仕事をしようと心がけるのも大事ですが、そろそろお金を優先することも大事に思えてきました。その両方が達成できる戦略が思いつけば、一番よいのですが、なかなか簡単にはいかないようです。

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